フェソン(FESON)てどんなブランド?アドバンレザーの評価と共に解説します。
投稿日:2018年9月23日 | 最終更新日:2020年12月3日
【FESON:フェソン】
有名ブランド製品を請け負ってきた日本の工房が、
2003年に開始した自社ブランド。
最高級のクオリティーを目指すモノづくり精神のもと、
日本製らしい丁寧でしっかりとした革小物を生み出しています。
【FESON:フェソン】
有名ブランド製品を請け負ってきた日本の工房が、2003年に開始した自社ブランド。
最高級のクオリティーを目指すモノづくり精神のもと、日本製らしい丁寧でしっかりとした革小物を生み出しています。
ココだけは知っておきたい【FESON】の独自ポイント
【FESON】最大のこだわり。
それは、研究を重ねた末に辿り着いた「独自のコバ処理方法」にあります。
まずは、下の写真をご覧ください。革の裁断面であるコバ(※濃い茶色の箇所)は、「革製品の品質を左右する」と言われるほど重要な部分。
その良し悪しで、クオリティーが判断されます。
日本古来のコバ処理方法。
非常に手間がかかる代わりに、美しい見た目と耐久性が備わる。
もちろん、このコバ処理方法自体は、日本製の革財布にたびたび採用されている技法なので、ここに【FESON】の独自性はありません。
では、
どこに独自性があるのかというと…?
それは、「切り目本磨き」を行うときに使用するコバ液。
そして、見た目の美しさを左右する磨きです。
「切り目本磨き」は通常、「布糊(ふのり)」という水溶性液体をコバ液に使って行われます。
たとえば、100年以上の歴史を持つ日本の老舗が展開するブランド【GANZO】高品質で有名なコチラの革財布では、布糊を使って「切り目本磨き」が行われています。
厳密に言えば、この布糊を使ったコバ処理方法が正統かつ伝統の「切り目本磨き」となります。
ちなみに、【GANZO】のような日本古来の「切り目本磨き」は、上品なツヤ感と繊細な美しさが得られるというメリットがあります。
実物で見ると↓こんな感じです。ただ、先ほどもお伝えしましたように、使用されるコバ液の布糊(ふのり)は水溶性液体です。
ですので当然、水に弱いといったデメリットがあります。
そこで、
【FESON】の職人達は考えました。
と。
そして、たどり着いた答えが「耐水性を持つ、化学系の透明なコバ液」の採用と、企業秘密のコバ磨き手法でした。
この【FESON】独自の手法によって処理されたコバは、↑のように、うっすらと透明の膜がコバを守り、耐水性と実用性が高められています。
しかも、ご覧のように古来の「切り目本磨き」の美しさは失われていません。
この独自のコバ処理技術が、【FESON】の最大のこだわりポイントです。
【FESON】のコバ処理についての解説動画が公開されているので、お時間がある時にどうぞ。
<目次>~【FESON】について実物の財布写真を添えて解説します~
【FESON】全体の評価~3段階に分けて評価します~
コバ処理が美しい
コバ処理が美しい
最初にお伝えしましたように、【FESON】はコバにこだわっています。
なので、当然実物も美しく仕上げられています。
下の写真をご覧ください。このように、非の打ち所のない丁寧な仕上がりとなっています。
さわってみると、ツルツルに磨き上げられているのが、より一層分かります。
ラフに処理されたコバの写真をご用意いたしましたので、比較用にどうぞ。コチラは手でさわると、ザラザラしています。
もちろん、どちらのコバの方が良いか?は「持つ人の好み次第」です。
ですが、スーツに合わせるなら「美しいコバ」の方がフォーマル感が強くなる分、好印象です。
縫製レベルは並
縫製レベルは並
「熟練職人が仕立てる革小物」
【FESON】の製品を販売しているサイトでは、上のような説明文が書かれてます。
しかし、
「縫製レベル」だけで見ると、残念ながら感動するほど卓越した技術力があるとは言えません。
どの程度のレベルかというと、同じような価格帯の日本製革財布ブランドと同じぐらい。
つまり、並です。個体差はありますが、一般的に3万円台~4万円台の日本製の革財布は、どこかにステッチ(縫い目)のゆがみがあります。
【FESON】が作る革財布も例外ではなく、同じようにゆがみがあります。
上の写真をよく観察してみてください。
すると、角周辺のステッチ(縫い目)が微妙にゆがんでいるのが、お分かりいただけるかと思います。
このように「熟練職人が仕立てる革小物」といえども、完璧ではありません。では、「あらゆる箇所のステッチがゆがんでいるのか?」と聞かれれば、その答えはもちろんノーです。
大部分の箇所は↑このようにキレイに縫製されていますので、その点はご安心ください。
知名度がゼロに等しい
知名度がゼロに等しい
あなたは他人が持っている「財布のブランド」を、気にされたことがありますか?
きっと、だれもが1度はあると思います。
言うまでもありませんが、この【FESON】というブランドの知名度はほぼゼロです。おそらくあなたの周りの誰もが、このブランドの名前すら聞いたことがありません。
そのため、あなたの財布について興味を持った方が、
それドコの財布?
フェソン…?聞いたことないなぁ…。
といった反応をされることが、容易に想像できます。
たとえ選んだ財布のセンスが認められることがあっても、選んだ財布のブランドが羨ましがられることはありません。
この点が、知名度の低いブランドのデメリットです。
もちろんその代わりに、他人と一緒の財布になってしまう確率は極めて低いというメリットはありますが…。
アドバンレザーの評価~特長と欠点~
ここから先は、【FESON】の代表的レザーである「アドバンレザー」を使った財布の評価をお伝えしきてきます。
【補足:アドバンレザーの作られ方】
「アドバンレザー」は、着色されたレザーの上に濃い色を塗り重ね、その濃い色を落とすことによって生みだされています。
↑こんな感じで上の濃い色を「落とし剤」で落とし、色ムラが表現されています。
耐水性が高め
耐水性が高め
「アドバンレザー」の利点。
それは一般的な皮革に比べ、耐水性が高めなことです。
どうして「アドバンレザー」は本革なのに、水に強いのでしょうか?
それは本革を着色する際に、「染料」ではなく「顔料」が使用されているからです。
【顔料】とは?
着色に用いる粉末で水や油に不溶のものの総称。引用:wikipedia
上の解説のように、顔料は水に溶けないという性質を持っています。
なので、これを使って塗装されたレザーは当然耐水性が高くなります。
もちろん「耐水性がある」といっても、元々の素材は水に弱い本革。
完全防水というワケではありませんので、できるだけ水には気をつけてあげてください。
天然皮革のような「味」はない…
天然皮革のような「味」はない…
いまお伝えしましたように、「アドバンレザー」には耐水性があります。
普通に使用していれば「水シミ」や「水ぶくれ」は出来ません。
そのため、どなたでも扱いやすいレザーとなっています。
ですが、
その代わりに天然皮革のような「味」を楽しむことができません。
たとえば、「味」の醍醐味の1つであるエイジング。
水に溶けやすい「染料」で色付けされた天然皮革は、上の写真のように徐々に色が濃くなっていきます。
これに対し、
水に溶けない「顔料」で色付けされた「アドバンレザー」は、徐々に色が薄くなっていきます。
↓のインスタグラムよりお借りした写真をご覧ください。
(※上:新品/下:使用した財布)
見比べていただくと、使用した財布の方は重ね塗りされた濃い色が落ち、その下の薄い色も一部落ちてきているのが、お分かりいただけると思います。
このように「アドバンレザー」は、染色系の天然皮革と真逆のエイジングが起こります。
さて、いまご覧いただいたエイジングの違いを知り、
染料系の天然皮革の「味」の方が好みかな?
と、もしあなたが思われた場合、「アドバンレザー」を使った製品は好みに合わないことが予想されます。
その場合は、染料系の天然皮革を使った革財布をお選びください。同じ【FESON】でしたら、上の「ブライドルレザー」を使ったシリーズが、染料系の天然皮革を使った革財布となります。
色が濃くなるエイジングの方がお好みの場合は、ぜひコチラをチェックしてみてください。
コードバンを超える光沢感
コードバンを超える光沢感
まずは↓の比較写真をご覧ください。どちらの革財布の方が、光沢感が強いように見えますか?
おそらく、右の「アドバンレザー」の方だったかと思います。
もちろん、肉眼でこの2種類のレザーを比較してみても、「コードバン」よりも「アドバンレザー」の方が光沢感があります。
農耕馬のおしりから採れる希少な皮革。
牛革よりも耐久性がありますが、キズや水にかなり弱いという性質を持っています。
それは「光沢感が強め」であるがゆえに、好みが分かれるかもしれないからです。
「アドバンレザー」は↓のように、角度によってはよく光を反射します。写真では伝わりにくいですが、「コードバン」とは一味違うのツヤ感と、ツルっとした手ざわりとなっています。
たとえるなら、自然の風合いが生かされた天然皮革ではなく、コーティングされた高級家具の質感に似た雰囲気があります。
このようなコーティング感は、その人の好みによって「」にも「」にもなるかと思います。
ですので、あえて評価を「」としてお伝えしておきます。
【FESON】評価まとめ
・ブランド全体について
コバ処理が美しい
知名度がゼロに等しい
縫製レベルは並
・「アドバンレザー」について
耐水性が高め
天然皮革のような「味」はない…
コードバンを超える光沢感
【FESON】評価まとめ
・ブランド全体について
コバ処理が美しい
知名度がゼロに等しい
縫製レベルは並
・「アドバンレザー」について
耐水性が高め
天然皮革のような「味」はない…
コードバンを超える光沢感
以上が【FESON】の評価となります。
全体的に少しキビシめに評価しましたが、製品自体はしっかり丁寧につくられているのは間違いありません。とくに、こだわりのポイントである「コバ処理技術」は、同価格帯のブランドの中でも上ランクと言えます。
ただ、先ほどもお伝えしましたように「アドバンレザー」は好みが分かれることが予想されます。
したがって、あなたの好みに合わなさそうな時は「ブライドルレザー」を使った製品を選択された方が無難です。
【MLS別注】限定カラーの「アドバンレザー長財布」をレビューします。
記事中にも登場した↓コチラの長財布。実は、「Mens Leather Store」(略称:MLS)というネットショップだけで販売されている、限定カラーとなっています。
そんな限定カラーの長財布を、これからたくさんの写真を添えて詳細にお伝えしていきます。
まずは【FESON】自慢のコバ部分からご覧ください。限定カラーの長財布では、通常版とは異なり、黒いコバ液でコバが磨かれています。
違いが分かりやすいように、通常版の透明のコバ液が使われているモノと見比べてみます。すると、黒色で仕上げれている分、限定カラーの方が全体的に引き締まった雰囲気が感じられるかと思います。
次は、正面のコバを見てみましょう。コチラも黒いコバ液を使って、綺麗に磨き上げられているのが分かります。
もちろん、文句ナシの出来映えです。
念のため、反対側のコバ処理も確認してみます。当然のように綺麗に磨かれています。
さわるとツルツルとした質感が、より一層分かります。
次は開いて、表面のアドバンレザー全体を見てみます。継ぎ目のない一枚革で仕立てられていることもあり、高級感も〇。
アドバンレザー独特の色ムラは、見るたびに違う表情をしているようにも感じます。
この限定カラーの長財布は、内装にブラックのレザーが採用されています。ご覧のようにブラックに統一されているので、より男らしさが感じられるシックな印象に仕上がっています。
なお、汚れが目立ちにくいのも限定カラーの利点の1つです。
【FESON】のアドバンレザー長財布は、見える箇所だけではなく、見えない箇所にもレザーが使われています。チープな革財布ブランドのように、合皮やナイロンが使用されていない点は高評価です。
次は、内側のカードポケットをご覧ください。それぞれのポケットに直線が入っているのがお分かりただいだけると思います。
これは「ネン引き」という加工で、見た目が美しくなるだけでなく、強度を上げる効果もあります。
アップで見てみましょう。このように、ひとつひとつ丁寧に直線が引かれています。
最後は使用感について、お伝えしていきます。
まずはお札入れ部分から。
アドバンレザー長財布のお札入れには、すこし広めの「マチ」が採用されています。
「マチ」とは↓の写真の赤い⇔の部分です。コレがあると財布が大きく開くため、たくさんのお札を入れられるようになります。
また、「マチ」は伸び縮みしてくれるので、お札を出し入れするときにも役立ちます。見た目は地味ですが、あるとないとではお札の出し入れしやすさが全然違います。(※ある方が使いやすさ◎。)
なおコチラの財布には、お札入れがもう1カ所あります。上の写真のようにお札を分けていれることは可能ですが、「マチ」がない分、あまり枚数は入りません。
なので、「どこに何のお札を、何枚入れるか?」を考えて、うまく使い分ける必要があります。
次は、小銭入れを見ていきます。ご覧のように、小銭入れには「マチ」が付いていません。
そのため、ガバッと開くことができず、すこし取り出しくくなっています。
「マチ」がないので、当然たくさんの小銭を入れることもできません。しかし、
「長財布」は小銭をたくさん入れると太ってブサイクになってしまうので、これぐらい入れば十分といった感じです。
なお、気になるチャック開閉のしやすさは、ストレスなく、スムーズで◎。さすが、高品質で評判の良い「YKKエクセラ」が採用されているだけのことはあります。
最後は、ポケット類についてです。
カードポケットは、全部で12ポケットあります。これだけあれば、普段必要となるカード類はすべて収納できます。
そして、お札入れが付いている側のカードポケットの後ろには、少し大きいフリーポケットが付属しています。このフリーポケットには、レシート等が入れられます。
また、反対側のカードポケットの後ろにもフリーポケットがあり、お守りや名刺などを入れておくこともできます。
それでは、最後に大きさや重さといった詳細をまとめた表を載せておくので、さらっと確認してみてください。
札入れ | 2 | カードポケット | 12 |
マルチポケット | 2 | 小銭入れ | 1 |
重さ | 135g | ||
サイズ(mm) | 幅190 × 高さ97 × 厚さ29 |
札入れ | 2 | カードポケット | 12 |
マルチポケット | 2 | 小銭入れ | 1 |
重さ | |||
135g | |||
サイズ(mm) | |||
幅190 × 高さ97 × 厚さ29 |
以上となります。
こちらの「MLS別注アドバンレザー長財布」は、
- 革財布が欲しいけど、頻繁にメンテナンスはしたくない。
- ほかの人が持っていない個性的な財布がほしい。
- ブラックやブラウン一色の財布は飽きた。
- 20代後半〜40代後半の年齢層の男性に、似合う財布が欲しい。
- 水濡れに気を使わないで済む、扱いやすい革財布がいい。
- 3万円ぐらいで質の良い日本製ブランドを探している。
- こだわりを持って、丁寧につくられた逸品を所持したい。
といった方の理想に近い革財布です。
ぜひ、下の緑ボタンより他のカラーをご確認後、手にしてみてください。
【参考にさせていただいたサイト様一覧】
- KAWANOWAさん
- 台東ファッションザッカセレクションさん
- BOQさん
- mensleathermagazineさん
- GANZOさん
- 皮革用語辞典さん
- ミューゼオ・スクエアさん